振り返れば、責任だらけの人生でした。
母は嫁いで苦労をしました。
祖母が言いました。
「何とか母を救いだすことは出来ないだろうか?」
私は黙ったままでした。
施設のベッドで祖母は私に言いました。
「お母さんを頼んだよ」
高齢になった父が意識を失って倒れた時がありました。
父が兄に帰ってきてくれと言っても、兄は帰りませんでした。
布団に寝ている父が、あれやこれや家業のことを伝えて、私に言いました。
「頼んだよ」
懸命にやったつもりです。
でも、右手の親指が曲がらなくなりました。
力が入らない手ではいろんなことに支障が出ます。
潮時なのだと思いました。
今まで、誰も身内も家族も言ってくれなかった言葉を自分に贈ります。
「幸せになりなさい」