一涙一心(いちるいいっしん)

事実は小説より奇なり、と言うが。

まさに、それを体感した両日でした。

初恋で大学時代の恋人だった人が、30年ぶりに訪ねて来てくださいました。

再会。

相手の消息すら分からない状態で、でも、ずっとどうしているかと思っていたその人。

まさか、本当に会えるなんて、そんなことがあるのかと、

もっと感動して泣くのではないかと思っていたのですが、

そんなことは起きず、でも昨晩は少ししか眠れず、困ったものだと思っていたのですが。

帰路に就く相手を見送って、夕方くらいにそれは訪れた。

別れてからと言うもの、その痛みと辛さに自暴自棄になって、十数年、もしくは数十年。

玉手箱に閉じ込めておいたのに、それがいきなり開いてしまったかのような。

涙が溢れて何かが溢れてくる。

「泣かないで、大丈夫だから泣かないで」

一体、何回、この言葉を自分に言い聞かせたことだろう。

失恋の痛みか、喪失感か、この落ちる感覚があと二段階か三段階沈むと、希死念慮が起きる。

だから、泣きながら自分に言い聞かせる。

「泣かないで、大丈夫だから。ずっと一人で傷を癒してきたじゃない。」

時間を30年前に巻き戻して、そして一気にトラウマが噴出したかのような。

2-3時間、苦しんで、でも、抑え込むことが出来ました。

これはきっと、自分に愛していると言って、心を真ん丸にしていたおかげでしょう。

当時、私は、愛する人に出来ることは、「相手の望みを叶えてあげること」だと思っていました。

だから、自分は身を引いて別れを言ったのです。

その後、それがどれほど辛く、苦しく痛いものだと知らずに。

一涙一心

万の思いも万の言葉も涙となって溢れ落ちる。

今日は泣き疲れて、ぐっすり眠れるだろうか。

Phuc NguyenによるPixabayからの画像